「最新のシステムを入れた」のに、なぜか現場は楽になっていない。その投資、本当に必要でしたか?
無駄なIT投資をしている病院・介護施設の見分け方
2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:6分
医療・介護業界でのITコンサルを続けていると、「このシステム、本当に必要だったのだろうか」と感じる場面に出会うことがあります。立派なサーバーが静かに眠っていたり、月額費用を払い続けているのに誰も使っていないクラウドサービスがあったり。善意の投資が、気づけば無駄なコストになっているケースは決して少なくありません。
元医事スタッフとして現場を知り、プログラマーとしてシステムの中身もわかるからこそ、「見ればわかる」ポイントがあります。今回はその見分け方を、正直にお伝えします。
① 「誰が使うか」より「何が流行っているか」で選んでいる
「他の病院も導入しているから」「補助金が出るうちに入れておこう」という判断でシステムを選んでいる施設は、投資が無駄になるリスクが高いです。流行りのキーワードに引っ張られて導入を決めると、現場のニーズと製品の機能がズレたまま稼働することになります。
正しい順番は、「現場が何に困っているか」を整理してから、それを解決できる製品を探すことです。製品ありきで課題を後付けすると、必ずどこかで無理が生じます。
「DX推進」「AI活用」という言葉が入った提案書に、予算が通りやすい傾向があります。現場課題より先にキーワードが走っている施設は要注意です。
② システムの「管理者」が現場と別の世界にいる
導入したシステムの管理者が事務長や経営層だけで、実際に使う現場スタッフとの接点がほとんどない施設があります。この構造になっている場合、現場の不満や改善要望が上に届かず、システムは「使いにくいまま放置」されていきます。
現場スタッフが「これ、誰に言えばいいんですか?」と困惑している施設は、IT投資の費用対効果が出ていないことがほとんどです。システムは生き物で、使いながら育てるものです。管理の仕組みが整っていなければ、導入費用は単なる出費になります。
③ 「紙との二重管理」が常態化している
システムを入れたのに、紙の台帳も並行して運用している。これが常態化している施設は、IT投資が現場の負担を減らすどころか、むしろ増やしてしまっています。
紙との二重管理が起きる原因は、たいていシステムへの信頼不足か、移行期の設計ミスです。「念のため紙でも残す」という現場の気持ちは理解できますが、それが恒久的な運用になった瞬間、そのシステムへの投資は半分以下の効果しか生んでいないと思って間違いありません。
「電子カルテに入力して、さらに申し送りノートにも書く」という現場は今も多くあります。これはシステムの問題ではなく、移行設計と現場への説明が不十分だったサインです。
④ ランニングコストを把握していない
「導入費用はいくらでしたか?」と聞くとすぐ答えられるのに、「毎月のランニングコストは?」と聞くと担当者が口ごもる施設があります。クラウドサービスの月額費用、保守契約料、ライセンス費用など、IT関連の支出は導入後に静かに積み上がっていきます。
5年間のトータルコストで見たときに初めて「あのシステム、高すぎた」と気づくケースは非常に多いです。IT投資は初期費用だけでなく、ランニングコストと得られる効果を並べて判断することが必要です。
⑤ 「効果の測定」を一度もしたことがない
導入から1年経っても、「このシステムを入れて何が変わったか」を誰も検証していない施設があります。業務時間が何時間削減されたか、エラーが何件減ったか、スタッフの満足度はどう変わったか。こうした数字を追っていない施設は、次のIT投資も同じように感覚で判断することになります。
効果を測定する文化がない施設に、いくら優れたシステムを入れても、それが本当に役に立っているかどうかは誰にもわかりません。測定できないものは、改善できません。
導入前に「何をもって成功とするか」を数字で決めておくことが大切です。「残業が月10時間減る」「入力ミスが半分になる」など、具体的なゴールを決めてから導入することで、効果測定が自然にできるようになります。
この記事のまとめ
- 流行りのキーワードより「現場の困りごと」から選ぶことが大切です
- システムの管理者と現場がつながっていない施設は投資効果が出にくいです
- 紙との二重管理が恒久化している場合、導入設計を見直す必要があります
- ランニングコストを含めた5年間のトータルで判断することが重要です
- 導入前に「成功の定義」を数字で決めておくことが効果測定の第一歩です
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