「たった5分」と思っていませんか。数字にすると、景色が変わります。
「5分の削減」が年間でどれくらいの価値になるか
2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:5分
「このシステムを入れると、1回あたり5分くらい短縮できると思います」という提案をしたとき、「たった5分ですか」という反応が返ってくることがあります。5分という数字は、確かに小さく聞こえます。でも、その5分を年間に換算したとき、「たった」という感覚は変わります。
現場改善の価値を正しく伝えるために、数字の力を使うことはコンサルの大切な仕事の一つです。今回は「5分の削減」を起点に、その価値を具体的に計算してみます。
まず計算してみる
たとえば、介護施設で10人のスタッフが毎日1回行う記録入力を、5分短縮できたとします。1日あたりの削減時間は、5分×10人=50分です。月20日勤務で換算すると、50分×20日=1,000分、約16.7時間。年間では16.7時間×12ヶ月=約200時間になります。
時給換算でこの価値を見てみます。仮に時給1,500円のスタッフが10人の場合、200時間×1,500円=30万円。これが「たった5分の削減」の年間価値です。しかもこれは人件費だけの計算です。スタッフの疲労軽減、ミスの減少、余裕から生まれるケアの質向上まで含めると、数字には表れない価値がさらに積み重なります。
5分 × 10人 × 20日 × 12ヶ月 = 年間200時間
200時間 × 時給1,500円 = 年間30万円相当
これが「たった5分」の本当の価値です。
「小さな改善」が積み重なると
記録入力だけでなく、申し送りの準備・報告書の作成・シフト管理・請求業務。一つひとつの作業を5分ずつ短縮していくと、その合計は驚くほど大きくなります。5つの業務で5分ずつ削減できれば、一人あたり1日25分の削減です。10人のスタッフなら、1日あたり250分=約4時間の余裕が生まれます。
この4時間が何に使われるかを考えると、数字の意味がさらに深まります。患者さん・利用者さんと話す時間、スタッフ同士で情報共有する時間、休憩を取れる時間。業務効率化が生み出す余白は、ケアの質に直結します。
なぜ「5分」が軽く見られるのか
「たった5分」という感覚が生まれるのは、年間や組織全体で考える習慣がないからです。一人・一回・一日で見ると5分は小さいです。でも、人数・回数・日数・月数をかけ合わせると、「たった」とは言えない数字になります。
改善提案をするとき、この「かけ算」を相手と一緒にやることが大切です。「5分短縮できます」ではなく、「年間でこれだけの価値になります」という伝え方に変えるだけで、提案への反応がまったく変わります。数字は、感覚を現実に変える力を持っています。
削減した時間が「別の業務に使われる」だけになってしまわないよう、何のために時間を生み出すのかを最初に決めておくことが大切です。余白の使い道が明確でないと、改善の価値が現場に伝わりにくくなります。
投資対効果で考える
「システムを入れるコストはいくらか」という問いに対して、「年間でいくらの価値を生むか」を並べて見せることができれば、導入の判断がしやすくなります。たとえば導入費用が50万円で、年間30万円の価値を生むなら、2年以内に回収できる計算になります。
この試算を一緒にやることが、コンサルとしての仕事の一つです。「なんとなく便利になりそう」という感覚論ではなく、「これだけの投資でこれだけのリターンがある」という数字で話せると、経営者の判断を後押しできます。小さな5分が、大きな意思決定を動かすことがあります。
この記事のまとめ
- 5分×10人×240日=年間200時間。「たった5分」は年間30万円相当になります
- 小さな改善を複数積み重ねると、組織全体で大きな余白が生まれます
- 「年間でいくらの価値か」という伝え方が、提案への反応を変えます
- 余白の使い道を最初に決めておくことで、改善の価値が現場に伝わります
- 数字で話せるコンサルは、経営者の意思決定を後押しできます
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