システムを作らない方がいい場合がある

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現場SEあるある

「作れる」からといって「作るべき」とは限りません。これ、言えるようになるまでに時間がかかりました。

システムを作らない方がいい場合がある

2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:6分

「システムを作ってほしい」という依頼を受けたとき、プログラマー出身のコンサルとしての自分の中に、最初は「どう作るか」という思考が先に走ります。でも経験を積む中で、「本当に作るべきか」を先に問うことの大切さを学びました。

システムを作らない方がいい場合が、確かに存在します。これはサボりの話でも、技術力の話でもありません。依頼者のために、正直に「作らない方がいい」と言える判断力こそが、コンサルとしての本当の仕事だと今は思っています。

① 業務フローが整理されていないとき

「今の業務が複雑でよくわからないから、システムで整理したい」という依頼があります。でも、整理されていない業務をそのままシステム化すると、複雑さがデジタルに移るだけです。混乱した業務フローを自動化しても、混乱したまま速く動くシステムができあがります。

まず業務フローを人の手で整理することが先です。その過程で「この手順、実は必要なかった」「ここは別の方法でできる」という気づきが生まれます。整理した後に「やっぱりシステムが必要だ」となれば、そのときに作ればいい。順番が逆になると、高いお金を払って問題を複雑にすることになります。

💡 気づいたこと

「システム化の相談」を受けて業務を整理していたら、システムを作らなくても問題が半分解決したことがあります。整理するだけで見えてくるものが、思った以上に多いです。

② 使う人が一人か二人のとき

「この作業、毎月自分だけがやっているので自動化したい」という相談があります。月に一度、担当者が一人でやっている作業のためにシステムを作ることは、費用対効果の面で成立しないことがほとんどです。

そういった場合、Excelのマクロや既存のツールの組み合わせで十分に対応できることがあります。「システムを作る」という選択肢より先に、「既存のもので解決できないか」を徹底的に考えることが、依頼者のためになります。開発コストより安い解決策があるなら、それを正直に伝えるのがコンサルの仕事です。

③ 運用できる人がいないとき

システムを作っても、それを日常的に運用・管理できる人が施設内にいない場合、稼働後に必ず問題が起きます。トラブルが起きたときに対応できる人がいない、ちょっとした設定変更もベンダーへの依頼が必要になる、担当者が変わったら誰も使い方がわからなくなる。

「作って終わり」ではなく「作った後も動き続けること」がシステムの本来の目的です。運用できる体制が整っていないなら、体制を作ることを先に提案します。体制なしにシステムだけ作ることは、管理できないペットを飼い始めるようなものです。

⚠ よくある落とし穴

「とりあえず作ってもらえれば、あとは何とかします」という言葉ほど怖いものはありません。「何とかする」の中身が具体的でない場合、稼働後に誰も何ともできない状態になることがあります。

④ 「なんとなく便利そう」が理由のとき

「他の施設がやっているから」「DXしていると見られたい」という理由でシステム化を求めるケースがあります。目的が「便利になること」ではなく「やっている感を出すこと」になっている場合、どんなシステムを作っても満足は得られません。

「なぜ作りたいのか」を丁寧に聞き直すことで、本当の課題が見えてくることがあります。そこで「やっぱりシステムが必要だ」となれば作ればいい。「実は別のことが課題だった」となれば、別の解決策を一緒に考えます。動機の整理なしに作り始めると、完成したシステムが誰の問題も解決しないことになります。

「作らない」と言えることが信頼になる

「システムを作らない方がいい」と依頼者に伝えることは、一見すると仕事を断ることのように見えます。でも実際には、依頼者の立場に立って正直に答えることが、長期的な信頼につながります。

「作れるのに作らない選択ができる」というのは、技術力があるからこそ持てる判断です。ハンマーを持っていると何でも釘に見える、という言葉があります。作ることが目的にならないよう、常に「本当に必要か」を問い続けることが、コンサルとしての自分に課していることです。

✅ まとめると

「作らない方がいい」と言えるコンサルは、依頼者にとって一番安心できる相手です。売上より先に依頼者の利益を考えられるかどうかが、長く仕事を続けられるコンサルの条件だと思っています。


この記事のまとめ

  • 業務フローが整理されていないなら、整理が先でシステムは後です
  • 使う人が少ない作業は既存ツールで解決できることが多いです
  • 運用できる体制がなければ、体制づくりを先に提案します
  • 「なんとなく便利そう」を動機に作り始めると誰の問題も解決しません
  • 「作らない」と言えることが長期的な信頼につながります
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