口には出せないけれど、経験を積めば積むほど「見えてしまう」ことがあります。
現場SEが内心「この案件、失敗するな」と思う瞬間
2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:6分
経験を積んだSEには、ある種の「嗅覚」が備わってきます。プロジェクトが始まって間もないころから、「この案件はうまくいかないかもしれない」と感じる瞬間があります。もちろん口には出せません。でも、その感覚はほぼ外れません。
今回はその「失敗の予感」がどんな瞬間に訪れるのかを、正直に書いてみます。施設側の方が読んでいれば、自分たちの案件を振り返るチェックリストとして使っていただけるかもしれません。
① キックオフに現場スタッフが一人もいないとき
最初の打ち合わせに参加しているのが経営層と事務長だけで、実際にシステムを使う現場スタッフが誰もいない。この状況を見た瞬間、経験のあるSEは内心でため息をつきます。
現場スタッフが最初から関わっていないプロジェクトは、稼働直前になって「こんな使い方は想定していませんでした」という声が必ず出てきます。設計のやり直し、スケジュールの遅延、そして現場の不満。この三点セットが待っています。
「現場には後で説明します」という言葉をキックオフで聞いたとき、その「後で」が来る前にプロジェクトが崩れていったケースを何度も見てきました。
② 「とにかく早く」が最初の要件になっているとき
「補助金の期限があるので3ヶ月で稼働させたい」「他の施設に遅れを取りたくない」という理由でスピードが最優先になっているプロジェクトは要注意です。急いで作ったシステムは、急いだ分だけどこかにしわ寄せが来ます。
要件定義が薄くなり、テストが省略され、現場への説明が不十分なまま稼働日を迎えます。「とにかく早く」は目的ではなく制約のはずですが、いつの間にかそれ自体がゴールになってしまうことがあります。
③ 担当者が「上に言われたので」を繰り返すとき
プロジェクトの担当者が、要件を聞くたびに「上に言われたので」「経営判断なので私にはわかりません」と答える案件は、構造的に難しいです。担当者自身がプロジェクトを自分ごとと捉えていない状態で、良いシステムが生まれることはほとんどありません。
担当者がいきいきと「現場ではこういう課題があって」と話してくれる案件と、「上からの指示で」しか言えない案件では、完成するシステムの質がまるで違います。
担当者が「決裁権を持っていない」かつ「現場の声を拾う立場でもない」という状況は、SEにとって最もやりにくい環境です。誰に確認しても「持ち帰ります」で終わり、意思決定が止まり続けます。
④ 要件が「他の施設と同じで」になっているとき
「うちは○○病院と同じ規模なので、あそこと同じシステムで大丈夫です」という言葉も、経験あるSEには赤信号です。施設が違えば、業務フローも文化もスタッフのITリテラシーも違います。他の施設でうまくいったシステムが、そのまま自分の施設に合うとは限りません。
「他と同じで」という発想の裏には、自分たちの業務を深く見つめることへの回避があることがあります。その回避がある限り、要件定義は表面的なものにとどまり、導入後に「やっぱり違った」が出てきます。
⑤ 「稼働したら終わり」の空気があるとき
プロジェクトの会話が「いつ稼働できるか」だけに終始していて、稼働後の運用・定着・フォローについて誰も話さないとき。この空気を感じると、「稼働はゴールではなくスタートなのに」と心の中でつぶやきます。
システムは稼働してから育てるものです。稼働後3ヶ月の現場定着こそが、プロジェクト全体の成否を左右します。その話を誰もしないまま進んでいるプロジェクトは、稼働後に「こんなはずじゃなかった」という声が出るまでの時間が、驚くほど短いです。
この記事に書いた5つのサインが一つでも当てはまるなら、今すぐプロジェクトの進め方を見直すチャンスです。どれも、早い段階で気づけば修正できます。見て見ぬふりをした分だけ、後の代償が大きくなります。
この記事のまとめ
- キックオフに現場スタッフがいない案件は要注意です
- 「とにかく早く」がゴールになった瞬間、品質は犠牲になります
- 担当者が自分ごとで動けていない案件は構造から見直しが必要です
- 「他と同じで」は要件定義の回避のサインです
- 稼働後の定着を誰も語らないプロジェクトは、稼働後に崩れます
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