「技術的に困難です」の一言で、あきらめていませんか?コードがわかるからこそ見抜ける、その言葉の裏側があります。
ベンダーに「できません」と言われたら疑ってほしいこと
2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:6分
医療・介護施設のIT担当者や経営者から、「ベンダーに『できません』と言われてしまって」という相談を受けることがあります。その言葉を聞いたとき、自分の中で最初に思うことがあります。「本当にできないのか、それともやりたくないのか」という疑問です。
プログラマー出身のコンサルとして、ベンダーの提案書や回答を技術レベルで確認できる立場から言うと、「できません」にはいくつかの種類があります。今回はその見分け方と、対処法を整理してみます。
「できません」には3種類ある
ベンダーが言う「できません」を整理すると、大きく3種類に分けられます。まず「本当に技術的に不可能なもの」、次に「できるけれど工数がかかりすぎるもの」、そして「標準機能の範囲外なのでやりたくないもの」です。
現場が困っているのに「できません」と一言で終わらせてしまう場合、その大半は2番目か3番目のケースです。本当に技術的に不可能なことは、実はそれほど多くありません。「できない」のではなく「やらない」という判断が、「できません」という言葉で届いていることがよくあります。
「技術的に困難です」という表現は、「できない」とは違います。困難=不可能ではありません。追加費用や納期の調整で実現できるケースが多く、この言葉を鵜呑みにしてあきらめてしまうのは早計です。
「できません」と言われたときに返すべき質問
ベンダーに「できません」と言われたとき、そのまま受け入れるのではなく、いくつかの質問を返すことで状況が変わることがあります。まず「なぜできないのか、技術的な理由を教えてください」という質問です。
本当に技術的な理由があるなら、具体的な説明が返ってきます。しかし「仕様上の制限です」「パッケージ製品なので」という答えが返ってくる場合、それは技術的な限界ではなく、製品や契約上の制限であることがほとんどです。その場合は「別の方法で同じ結果を得られませんか?」と問い直すことができます。
「工数がかかりすぎる」は交渉の余地がある
「できますが、費用が大きくかかります」という回答は、実は交渉の入り口です。ここで確認すべきことは、その工数の根拠です。「何時間の作業を想定しているか」「どの部分に工数がかかるのか」を具体的に聞くことで、見積もりの妥当性を判断できます。
プログラマー出身の立場で見ると、工数見積もりに2〜3倍の余裕が含まれているケースは珍しくありません。要件を少し絞るだけで費用が大幅に下がることもあります。「全部は無理でも、この部分だけなら?」という交渉が、意外と通ることがあります。
「できません」と言われたら、「では、どこまでならできますか?」と返してみてください。要件を段階的に絞っていくことで、予算内で実現できる落としどころが見えてくることがあります。
「できません」を言わせない設計の仕方
そもそも「できません」と言われる回数を減らすためには、要件定義の段階で工夫ができます。「こういう機能が欲しい」という要求をそのまま伝えるのではなく、「この業務でこういう結果を得たい」という形で伝えることです。
目的ベースで伝えると、ベンダー側が代替手段を提案しやすくなります。「この機能はできませんが、この方法で同じ目的は達成できます」という返答が引き出せれば、結果的に現場の課題は解決できます。手段を固定せず、目的を共有することが交渉をスムーズにする鍵です。
それでも解決しないときは
交渉を尽くしても「やはりできない」という結論になることも、もちろんあります。そのときは「本当にそのベンダーで良いのか」という問い直しが必要かもしれません。一社の回答が全てではなく、別のベンダーや別のアプローチで解決できることも多いです。
「できません」という言葉をゴールにしないこと。技術的な制約は必ず存在しますが、それを見極める目を持つことが、施設側にとっての大切な防衛手段になります。コードがわかる人間が施設側についているだけで、この交渉力は大きく変わります。
この記事のまとめ
- 「できません」には「技術的に無理」「工数がかかる」「やりたくない」の3種類があります
- 「なぜできないか」を技術的に説明してもらうことで、本当の理由が見えてきます
- 工数見積もりは交渉の余地があることが多いです
- 手段ではなく目的を共有することで、代替案を引き出しやすくなります
- 一社の「できません」をゴールにしないことが大切です
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