これは業界批評ではなく、自分自身への戒めでもあります。「現場を知っている」と言い切れますか?
コンサルを名乗っているのに現場を一度も見たことがない人の話
2026年 / カテゴリ:現場SEあるある / 読了目安:6分
医療・介護のITコンサルをしていると、同業者と話す機会があります。その中で、たまに出会うのが「現場に一度も足を運んだことがない」コンサルです。提案書は立派で、資料の見栄えもよく、話も上手い。でも実際の病院や介護施設の現場を自分の目で見たことがない。
これは批判ではなく、自分自身への戒めとして書いています。「現場を知っている」という感覚は、知らないうちに薄れていくものだからです。
「現場を知っている」の賞味期限
自分は病院で医事業務をしていた経験があります。でも、その経験はいつの話かというと、もう何年も前のことです。医療現場は常に変化しています。診療報酬の改定、電子カルテの普及、コロナ禍を経た業務フローの変化。数年前の「現場経験」が、今の現場にそのまま通用するとは限りません。
「元現場スタッフだから現場のことがわかる」という言葉は、定期的に現場に足を運んでアップデートし続けているときだけ、本当に意味を持ちます。過去の経験を錦の御旗にして、今の現場を見る目を持っていなければ、それは「かつて現場を知っていた人」でしかありません。
「現場のことはよく理解しています」と言いながら、最後に施設を訪問したのが2年前というコンサルを見たことがあります。現場は生き物です。2年あれば、スタッフも業務フローも大きく変わります。
「資料だけで完結するコンサル」の危うさ
提案書や会議室の議論だけで完結するコンサルには、構造的な危うさがあります。現場のリアルは、ヒアリングシートや担当者へのインタビューだけでは拾いきれないからです。
実際に現場に立つと、会議室では絶対に出てこない情報が見えます。スタッフが使っているシステムの画面を実際に見ると、「なぜこんなに時間がかかるのか」がすぐわかることがあります。廊下を歩いていると、「ここにプリンターが1台しかなくて、毎朝渋滞している」ことに気づきます。ナースステーションの導線を見ると、「なぜこの業務が手間なのか」が体感でわかります。
これらは、どんなに精度の高いヒアリングシートを作っても、現場に行かなければ拾えない情報です。
「担当者にヒアリングしたので現場の状況は把握しています」という言葉は、半分しか正しくありません。担当者が語れるのは、担当者が認識している課題だけです。現場全体のリアルを語れるのは、現場そのものだけです。
現場に行かないコンサルが生まれる理由
現場に行かないコンサルが存在するのは、その人が怠慢だからだけではありません。構造的な理由があります。まず、現場訪問は時間とコストがかかります。リモート会議が普及した今、「わざわざ現地に行く必要があるか」という判断が優先されることがあります。
また、施設側も「コンサルに現場をうろうろされると業務の邪魔になる」と感じることがあり、訪問を遠慮してしまうコンサルもいます。でも、現場を見ないで作った提案書は、どこかに必ずズレが生じます。そのズレの代償は、最終的に現場スタッフが払うことになります。
では、どうすれば「現場を知るコンサル」でいられるか
自分が意識していることは、「定期的に現場の空気を吸いに行く」ことです。具体的な課題解決のためでなくても、稼働中のシステムがどう使われているか、スタッフがどんな表情で働いているかを見るだけで、気づきが生まれます。
コンサルという仕事は、知識やフレームワークを売るだけでは成立しません。「この人は本当に現場のことを考えてくれている」という信頼があって初めて、提案が動き出します。その信頼は、現場に足を運び続けることでしか積み上がりません。
「最後に現場に行ったのはいつか」を、定期的に自分に問いかけることをおすすめします。その答えが3ヶ月以上前なら、何らかの理由をつけて現場を見に行くタイミングかもしれません。
この記事のまとめ
- 「現場を知っている」という感覚には賞味期限があります
- 現場のリアルはヒアリングシートだけでは拾いきれません
- 現場に行かない提案書のズレは、最終的に現場スタッフが払います
- 定期的に現場の空気を吸いに行くことが、コンサルの鮮度を保ちます
- 信頼は現場に足を運び続けることでしか積み上がりません
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